あすなろ法律事務所
借地借家事件


第1 借地借家法とは

1. 借地借家法は民法の特別法です。借地借家法は、民法に比べ、より借主側を保護するような規定が定められています。例えば、期限の定めのない建物賃貸借契約において、貸主が契約を解約したいと考える場合、民法では、解約申入れ後3か月の期間経過により終了となりますが(民法617条)、借地借家法では、6か月の期間経過により終了するとなっています(借地借家法27条)。

2. 借地借家法は、借地法、借家法、建物保護ニ関スル法律を一本化するかたちで法改正が行われ、平成4年8月1日から施行されました。従って、施行前になされた借地(借家)に関する法律関係については、概ね、借地法、借家法、建物保護ニ関スル法律の旧法が施行されます。

第2 借地(借家)関係

借地(借家)関係の一般的な流れは、以下のようになります。

@借地(借家)契約 → A地代(家賃)の支払い → B契約更新 → C契約終了

1. @借地(借家)契約
 借地(借家)契約をする場合の借地人の注意点としては、以下の点があります。
 @)調査
   借地の場合:土地面積、境界線はどのようか、更地かどうか等。
   借家の場合:家屋の広さ、間取りはどのようか等
   調査方法:現地調査、公図の確認等
 A)権利関係
   借地・借家共通:他人に使用させていないか、貸主は所有者本人か等。
   調査方法:登記簿謄本の確認等
 B)使用・収益
   借地の場合:すぐ家が建つか、他人に貸せるか、借地権を売却出来るか等
   借家の場合:同居は可能か、ペットや楽器等を持ちこめるか、他人に
   貸せるか、転借出来るか等
   調査方法:契約書のチェック、地主(家主)との話合い等

2. A地代(家賃)の支払い
 契約期間中は、契約で定めた地代(家賃)を納めることになります。
 信頼関係を破るような行為(地代(家賃)滞納、無断譲渡・転貸、無断増改築等)があれば、契約解除になります。
 信頼関係とは、地主(家主)が土地(建物)を貸すとき、借地人(借家人)が土地(建物)を借りるときに、「あの人だから大丈夫」という安心と信頼のことをいい、主に土地(建物)の明渡し時に問題になります。

3. B契約更新
 @)借地人からの更新で地主に正当事由がある場合
 A)借地人が借地権消滅後も土地使用を継続している場合には、地主が遅滞なく異議を述べないと法定更新となります。法定更新とは、新たな賃貸借契約締結が法律上強制されることをいいます。法定更新以外にも、合意による更新があります。この場合には、当事者間が任意で新たな賃貸借契約を締結したという扱いになります。

4. C契約終了とそれに伴う明渡し
 契約終了にあたり、任意に土地(建物)を明け渡す場合と、当事者間で争いになる場合とがあります。争いとなった場合、多くは、地主(家主)側が、借地人(借家人)に対し、土地(建物)の明渡しを請求する正当事由があるか否かが争点になります。
 正当事由とは、地主(家主)が、その土地(建物)の使用を必要とする事情のほか、土地(建物)に関する従前の経過、利用状況、現況並びに地主(家主)が土地(建物)の明渡しと引き換えに借地人(借家人)に対して財産上の給付をする旨の申出を考慮して決します(借地借家法6条、28条)。
 ここにいう財産上の給付が、いわゆる「立退料」であり、貸主は借主に対して立退料を支払う事で、正当事由を補完する場合が多くみられます。

第3 当事務所の対応

 貸主側であっても、借主側であっても、借地借家関係でお困りの方は、一度お気軽にご相談下さい。弁護士費用についても、事件の難易度や価格などを勘案してご依頼者のご納得を前提に決めますので、ご安心下さい。