あすなろ法律事務所
相続税とその節税について(その2)

Q.相続税は税金の中でも節税しやすいとききますが、具体的にどのような節税対策がありますか。因みに、私は、夫と長男、長女の4人家族です。


A.
 相続税の節税には、生前にできる方法の一つとして、生命保険の利用があります。死亡保障のある生命保険は、被保険者が亡くなった時に受取人が死亡保険金を受け取ることができ、受取人の財産となります。受取人が相続人以外であっても残したい相手に確実に財産を残すことができますし、相続人あっても、遺産分割の対象外であり遺留分侵害額請求もできません。
 しかし、相続財産ではありませんが、相続税を計算するうえでは、「みなし相続財産」として扱われ課税対象となります。それでも一定の金額が非課税となり、その計算方式は「500万円×法定相続人の人数(相続放棄した人も含む)」です。説例で夫が妻を受取人として死亡保険金を1500万円とした場合、1500万円―500万円×3人=0円となり、同額の現金を相続した場合に比べて節税になります。ただし条件があり、@被保険者が被相続人(夫)であること、A保険料の負担者が被相続人(夫)であること、B受取人が相続人(妻、子)であること、の3つです。言い換えれば、被保険者と支払者が被相続人、受取人が相続人の組み合わせ以外は、生命保険の控除を利用できず、所得税や贈与税がかかります。
 次に、子や孫(但し30歳未満であること)への教育資金援助のための贈与ですが、最大1500万円までは非課税となります。教育資金でも、学校などに直接支払われる入学金や授業料は最大1500万円まで、学習塾や習い事(料理教室、スポーツ教室、ダンス教室等)への費用の贈与は最大500万円までが非課税となります(但し1500万円のなかに含まれます)。この場合、必ず金融機関に教育資金専用口座を開設する必要があり、子や孫が学校からの入学金や授業料などの納付通知書や領収書などを金融機関に提出すれば、その金額がそこから子や孫の口座に振り込まれます。子や孫が制限年齢の30歳に達した時に使い残した残高がある場合は、残高分に贈与税が課税されるので注意してください。なお、この制度は、今のところ、令和5年3月31日まで利用できますが、それ以後も利用できるかについては、現時点では不透明です。