改正相続法における特別寄与制度の創設について(その2)
Q.前回の説明では、夫の両親の介護を長年引き受けてきた嫁の私が、特別寄与料を請求できるということでしたが、そのためには、どうすればいいのか具体的な方法を教えてください。
A.
今回の改正相続法で、介護した「嫁」が相続で報酬を受け取るという制度が認められました。しかし、単に、舅や姑を介護したからというだけでは、請求が当然に認められる訳ではありません。それなりに、資料が必要です。
まずは、介護日誌など、どんな介護(世話)を、どれくらいしたかなどの記録を残すことが必要です。例えば、病院の送迎や食事や身の回りの世話、入浴の介助などできるだけ細かく記録をつけておくことです。介護業者との連絡ノート、電子メールなどのやり取りも保存しておくのも有効です。また、おむつ代や薬代のレシートなどの出費の記録も残しておくことも必要です。
なお、介護期間中、舅や姑から出して貰った金品があれば、それが何のためにどのように使用したかの記録を取り、レシートなども残しておくことが大切です。そうでないと、相続開始時に「使い込み疑惑」など、他の相続人から追及される可能性があります。特に、自分のために出してもらった金品であればなおさらです。
デイサービスや訪問介護を利用しているにもかかわらず、特別寄与料が請求できるかどうかについては難しい点もありますが、介護サービスを利用する前に、「要介護2の状態」の舅、姑を「1年以上」介護していたなどの事情であれば、請求できる可能性はあります。さらに、施設に入れず、自宅での介護を望んだ結果、自分の仕事を辞めざるをえなくなったという場合であれば認められる可能性は十分あります。
この制度は、相続権のないこと配偶者による介護に報いるという点では、評価できますが、相続の話し合いに参加しやすくなったことから、今まで以上に相続紛争が増える可能性もあります。
なお、この特別寄与料は、相続開始を知ったときから6ヶ月、または、相続開始となったと時から1年以内に請求しないと権利が消滅しますので、注意が必要です。