あすなろ法律事務所
遺産(相続財産)について

Q.父親が亡くなり、父親の財産を相続することになりますが、いわゆる相続財産とされるものには、どのようなものがあるでしょうか。なお、相続人は、母親と私と妹の3人です。(特に遺言書はありません)。

A.
 まず、プラスの相続財産は、次のものがあります。
 @現金、預貯金などの現物財産
 A土地、家屋の不動産
 B賃借権、抵当権などの不動産上の権利
 C自動車、貴金属、骨董品、美術品、家財道具などの動産
 D株式、国債、社債、ゴルフ会員権、リゾート会員権などの有価証券
 E売掛金、貸付金、損害賠償請求権などのその他の債権
 F著作権、特許権などの知的財産権
 G故人が受取人の生命保険
 H電話加入権
 マイナスの相続財産は、次のとおりです。
 @借金、ローンなどの負債
 A故人が連帯保証人になっている場合の保証債務
 B不法行為、債務不履行などの損害賠償義務
 C未納の税金などの公租公課
 D営業上の未払い代金などの買掛金
 相続財産としてみなされないものは、次のとおりです。
 @墓地、仏壇、位牌、遺骨などの祭祀財産(※1)
 A香典、葬儀費用(棺柩その他の祭具、火葬費用など)
 B故人のみに帰属する権利l(※2)
 C故人以外が受取人の生命保険金(※3)
 D死亡退職金(※4)、埋葬料
 (※1)@Aは、喪主が葬儀を主宰する祭祀承継者が承継
 (※2)一身専属権=身元保証など
 (※3)指定されていた受取人が先に死亡し、再指定されないまま契約者が亡くなった場合は、相続できる。
 (※4)公務員は法律で、会社は就業規則で受取人が定まっている。生前に退職金を本人が受け取っていれば、退職金が相続財産に含む。

 父親の相続財産を相続するか否かは、プラスの財産とマイナスの財産を全て調査してから決めます。マイナスの財産が大きい場合は、相続放棄を検討すべきです。ただし、 相続開始があったことを知った時から3ヶ月以内にその旨を家庭裁判所に申し述べなければなりません。相続放棄をすると、初めから相続人でないとみなされ、相続財産を一切相続 しないことになります。慎重に判断してください。
 相続する場合は、プラス、マイナスの相続財産をどのように分けるかなど、母親、妹と協議し、協議が成立すれば、遺産分割協議書を作成します。しかし、紛争になれば、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てます。