あすなろ法律事務所
公正証書遺言について

Q.確実に遺言したいならば、公正証書遺言が安心だと聞きますが、どういった点で安心なのでしょうか。

A.
 公証人が関与して作成する「公正証書遺言」は、公証人が文面を作成してくれ、様式不備になる心配もなく、原本を公証人役場で保管するため偽造、変造、盗難、紛失の恐れがなく、 また、家庭裁判所の検認手続きも不要といったメリットがあります。このため、確実に遺言を実現したいのであれば、確実性に確実性に欠ける自筆証書遺言より安心・安全です。

 〜作 成 手 順〜
@証人2人以上が立ち会う。
A遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授する。
B公証人が遺言者の口授を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせ、または閲覧する。
C遺言者及び証人が筆記内容の正確なことを承認した後、各自これに署名し押印する。
 ただし、遺言者が病気などで署名できないときは、公証人がその理由を付記して署名に代えることができる。
D公証人が、その証書が以上の方式に従って作ったものである旨付記して、これに署名し押印する。

 作成にあたって必要なものは、@遺言者の印鑑証明書・実印、A相続人の戸籍謄本、B受遺者の住民票の写し、C遺言執行者の住民票の写し、D遺言対象の財産に関する資料(不動産登記簿謄本、 預貯金通帳、賃貸借契約書等)などです。
 公正証書遺言には、@公証人手数料、A遺言手数料、B用紙代等の費用がかかります。@の手数料は、相続財産が(@)100万円まで・・・5000円、(A)200万円まで・・・7000円、 (B)500万円まで・・・1万1000円、(C)1000万円まで・・・1万7000円、(D)3000万円まで・・・2万3000円、(E)5000万円まで・・・2万9000円、(F)1億円まで・・・4万3000円などと 細かく法律で定められています。そして、相続人が複数いればそれぞれの手数料が発生します。Aの手数料は、相続財産が1億未満の場合に支払います(通常、1万1000円)。Bの用紙代は、遺言書 の枚数によって金額が変わります。一枚あたり250円で、標準的なケースとして合計3000円くらいで済みます。
 具体例として、8000万円の財産を子ども2人が4000万円ずつ相続するという公正証書遺言を作成する場合、@公証人手数料:2万9000円×2人=5万8000円、A遺言手数料:1万1000円、 B用紙代:約3000円で合計約7万2000円かかるということになります。詳細は最寄りの公証役場に問い合わせるといいでしょう。