あすなろ法律事務所
戸籍について(その2)

Q.「戸籍」とは、どういうものですか。教えてください。
A.
 明治時代以降、一部の戸籍にフリガナが記載されていた場合もあったようですが、普通戸籍には、フリガナは記載されていません。煩わしさ等から利用者が少なかったこともあり、平成6年に制度として廃止されています。
 現在は、戸籍法第50条において「子の名には、常用平易な文字を用いなければならない。A常用平易な文字の範囲は、法務省令でこれを定める。」との規定はあるものの、読み仮名についての規定はありません。ですから、キラキラネームの場合(「七音」と書いて「どれみ」、「海」と書いて「まりん」と読ませる)は、読み方に苦労します。
 現在日本と同じ戸籍制度を設けている国は少なく、中国と台湾の2ヶ国のみです。韓国も少し前まで運用されていましたが、2007年に撤廃されています。戸籍制度が存在しない海外諸国では、「国民認識番号」と呼ばれ国民一人一人に付与されている番号があります。日本においては、2016年1月から施行されたマイナンバーがそれにあたると言えます。
 近年戸籍制度では、「無戸籍者」(子の出生の届出をしなければならないのに、何らかの理由で出生の届出をしないため戸籍に記載されない子が存在するという問題です:約1万人いるといわれています。)を作り出す可能性があるということで、大きな社会問題になっています。無戸籍の理由は、妻が婚姻中に懐胎した場合や離婚しても離婚後300日以内に子を出産した場合、夫の子と推定されるという民法772条の規定で、(元)夫の戸籍に入ってしまうということから、提出しない場合などが考えられます。
 婚外子や夫のDV・虐待から逃れ、離婚後も夫から身を隠している場合、夫との関わり合いを恐れて出生届を提出できず、かといって、夫に対して、「親子関係不存在確認請求」の訴訟をすることもハードルが高いことから、結局、子の戸籍のないままの状態が続いているという場合もあります。無戸籍は、同じ国民でありながら、住民登録や選挙権の行使、運転免許やパスポートの取得、銀行口座の開設などができなくなるだけでなく、教育、福祉、就職、結婚といった種々の生活上の局面で不利益を受けます。
 そこで、無戸籍者問題を解消しようと国会でも審議されています。