戸籍について(その1)
Q.「戸籍」とは、どういうものですか。教えてください。
A.
戸籍とは、
国民の国籍とその親族的身分関係(夫婦、親子、兄弟姉妹等)を公的に証明するものです。また、出生・死亡・婚姻・離婚・縁組など、国民一人一人の出生から死亡までを国が管理しているものです。両親、配偶者、兄弟、子供は何人いるかなどの家族関係が正確に記録されている、台帳としての役割があります。
相続手続きで戸籍謄本が必要となる理由は、戸籍にこの家族関係を証明する機能があるからです。
ちなみに、住民票は、生活の本拠地を指すものであり、住民一人につき、1住所となっています。そして、選挙人名簿の登録、国民健康保険や介護保険などの行政サービスの基礎として利用されています。
戸籍には、戸籍に含まれる人それぞれの@本籍、A氏名、B生年月日、Cその戸籍に入った原因・年月日D父母の氏名などの親子関係、E養子縁組関係、F配偶者の名前などの婚姻関係などが記載されています(戸籍法13条)。
本籍とは、
戸籍上の所在場所をいいます。日本国内であれば自由に置く場 所を決めることができます(但し、富士山山頂とか、行政区画や土地の名称、地番がない場所には本籍を置くことはできません)。本籍は、住民票の住所地などとは関係なく、変更して転籍もでき、1か所の土地に複数人の本籍が置かれることもあります。生まれたときは親の戸籍に入っていますから、実家のある場所(祖先にゆかりのある場所)とか、親が結婚した時に住んでいた場所などが本籍地になっているケースが多いかと思います。書き方は、都道府県、市区町村(郡)名、町、字名、地番の順で書きます。マンション名やアパート名、部屋番号などは書きません。
筆頭者とは、戸籍の一番初めに記載されている人のことです。氏名の記載順については戸籍法第14条に定められており、婚姻する夫婦が夫の氏を称するときは夫、妻の氏を称するときは妻が筆頭者となります。その後、配偶者、子、と続きます。筆頭者が亡くなったときなど、その戸籍から除かれた場合でも筆頭者は変わりません。また、住民票の世帯主とは全く別物です。
戸籍謄本と戸籍抄本の違いですが、戸籍謄本とは、戸籍に記載されている 家族全員の情報を証明したもので、戸籍抄本とは、戸籍に記載されている一部(家族のうち1人)の情報を証明したものです。相続手続き等基本的には「謄本」を用意したほうがいいですが、パスポートの申請等「抄本」で足りる場合には、個人情報保護の観点からも「抄本」を提出したほうがよいと思います。