あすなろ法律事務所
債権の回収について

Q.3年前に、知人に100万円貸しました。知人なので無利息でしたが、3年後には100万円を一括して返還するという約束で、借用書も取ってあります。しかし、何度催促しても返してくれません。どうしたら良いでしょうか。
A.
 まず、内容証明郵便で、何日までに返済するようにと書いた文書を送付します。内容証明郵便が面倒であれば、簡易書留の方法でも結構です。こちらの催促の意思表示が知人に確実に届いたことが重要です。それでも返済しないのであれば、訴訟等を提起して確定判決などの債務名義(さいむめいぎ)を得る必要があります。そして、知人が返済しない場合、債務名義に基づいて、知人の給料債権を差し押さえたり、知人名義の金融機関の通帳に入金されているお金を差し押さえ等の強制執行の申立てをして回収することになります。このように、強制執行申立の根拠となり、請求権の存在が公に宣言された文書を債務名義といいます。強制執行をしたい場合、どうしても債務名義が必要です(借用書は、裁判の際の証拠になりますが、債務名義にはなりません)。
 債務名義の種類としては、確定判決以外に、@仮執行宣言付判決、A仮執行宣言付支払督促、B公正証書、C和解調書、調停調書、審判書などがあります。
 このうち、公正証書は、高額なお金を貸す場合、知人とともに公証人役場に行き、公証人に「債務弁済公正証書」を作成してもらえば、「支払わない場合は、直ちに強制執行を受けても異義のないことを認諾する。」という文言(これを「執行認諾約款」(しっこう・にんだく・やっかん)といいます)がついているので、訴訟手続きなど面倒の手続きを取る必要もなく強制執行ができるので、非常に有効な方法です。離婚後の養育費の支払いについて不安がある場合も、公正証書で離婚協議の内容を定めておけば、有効です(離婚調停を申し立てて、調停調書を作成しておいても良いと思います)。
 60万円以下の少額の金額の場合、簡易裁判所に申立てれば、原則1回の期日で即時に判決が言い渡されるので、弁護士を頼まなくても簡易迅速に債務名義を取得することができます。手続きについて、よく分からなければ、簡易裁判所が親切に教えてくれます。一度訪ねてみてください。なお、「債務名義」を取ると時効は10年間になるので、時機をみて、差押えをすることも可能です。