ホームに入居した親の金銭管理について
Q.母が特別養護老人ホームに入居することになりました。しかし、母はお金の管理はできません。年金の管理やホームの使用料、日常的な買い物等はどうしたらいいのでしょうか。
A.
特別養護老人ホームに入所しても、自分で金銭管理ができるのであれば、自分で預金通帳等を保管し、ホームの職員に頼んでお金を引き出してもらってそのお金を使うことができますが、自分で管理できない場合は、誰かに管理をしてもらうしかありません。
その方法として、@本人の親族、知人等、信頼出来る人に預金通帳等を預け、ホームからの請求に応じてお金を引き出して支払ってもらう方法、Aホームにお金を預け、ホームから必要の都度、引き出して使ってもらう方法、B市町村の社会福祉協議会が窓口となって実施する日常生活費についての金銭管理サービス(日常生活自立支援事業)を利用する方法などが考えられます。@〜Bの方法は、本人の意思に基づいて預けることが必要であり、認知症等により本人の判断能力が失われている場合は、本人を含めいかなる人も金銭管理を依頼することはできず、法定後見人制度を利用しなければ、金銭管理を法的に正当な形で実施することはできません。また、@〜Bの場合でも、金銭管理が適正に行われている仕組みになっているかどうか確認する必要があります。@の場合、信頼関係以外に管理の安全を保障する方法はないので、使い込まれてしまった場合、被害回復は困難であることを認識すべきです。その点で、自己責任といっても過言ではありません。Aの場合、ホームの管理体制として、@預り金取扱規程が作成されているかどうか、A預かる物は通帳と銀行印(キャッシュカードは預からない)、B複数の職員が関与して管理を実施しているか否か(通帳と印鑑の保管責任者が別になっている等)、C利用者個別の金銭出納帳が作成されているかどうか、D本人(あるいは本人が指定する者)への定期的報告(金銭出納帳に通帳の写し、領収書等を添付)がされているかどうか等を確認してみるとよいと思います。特に、ホームが金銭管理をすることについて、手数料を徴収する場合は、手数料の明確化とともに、管理体制についてきちんと説明を受ける必要があります。Bについては、社会福祉協議会に問い合わせて、相談してみると良いでしょう。相談は無料ですが、金銭管理等のサービスを利用する場合、利用料がかかると思われます。