民泊について
Q.自宅の一部を利用して外国人専用の民泊を夫婦で行うことを考えています。最近、民泊に関する法律も成立したと聞いていますが、どのような法律ですか。
A.
民泊とは、住宅の一部または全部を利用して他人に宿泊させ、その対価を得る行為をいいます。例えば、両親とも亡くなり、使わなくなった部屋あるいは空き家を長男夫婦が外国人旅行客にお金を取って利用させることは、民泊の典型的な例です。この民泊が、最近、外国人旅行者などの急増から、急速に拡大しましたが、安全面・衛生面などでトラブルも生じたことから、健全な民泊の普及を図る目的で、平成29年6月、「住宅宿泊事業法」が成立しました。
この法律のポイントですが、従来、宿泊営業については、旅館業法に基づいて、厳格な要件の下、都道府県知事の許可が必要でした。しかし、民泊では、住宅の設備要件(台所、浴室、便所、洗面設備)が備えられた建物であれば、届けるだけでよく、許可は不要となりました。ただし、通年、営業することはできず、人を宿泊させる日数については、1年間で180日を超えないものとなっています。ですから、夏の海水浴シーズンや冬のスキーシーズンなどに観光客などが集まる時期に民泊を行うのに適しています。といっても、不特定多数の人が頻繁に出入りすることから、宿泊者の衛生の確保を図るために必要な措置の義務付けや、災害発生時における宿泊客の安全確保を図る措置(例えば、非常用照明器具の設置、避難経路の表示など)を義務づけています。なお、こうした措置は、民泊を利用する多くが外国人であることから外国語(英語、中国語など)で表示することが必要です。さらに、宿泊者名簿の備え付けの義務や宿泊施設の周辺の地域の人達に迷惑がかからないよう、宿泊者に対し、騒音の防止、ゴミの処理及び火災防止のために配慮すべき事項について記載してある書面の備え付けも義務付けられています。特に、外国人の場合、文化や価値観の違いから、時として、周辺地域の人達に迷惑をかける行動にでることもあるので書面化は必要です。なお、周辺住民から苦情などがあった場合、適切かつ迅速に処理することも義務付けられています。
その他、誇大広告の禁止や不当勧誘の禁止等の規制はありますが、単に観光地を回るだけではなく、日本の民泊を利用しながら農業や漁業、あるいは料理、生け花、茶道の体験などを希望する外国人旅行者も多く、民泊ビジネスは、ますます盛んになると思われます。また、それが、地域の活性化や空き家対策などにも繋がります。