振込詐欺の救済手段について
Q.
相変わらず振り込め詐欺の被害が増えていますが、だまされて振り込んだ場合などの救済措置を教えて下さい。
A.
預金口座などへの振込みを利用して行われた詐欺被害に遭った場合、直接あるいは警察、弁護士、認定司法書士などを通じて、振込先の預金口座を開設している金融機関に対し、犯罪利用の疑いがあるとの情報を提供をしてください。これを受けて、金融機関は、犯罪利用預金口座等であるとの疑いがあると認めた場合に、
取引停止措置(=口座凍結)を講じます(振り込め詐欺救済法3条)。詐欺グループは、振り込まれると同時に引き出す場合が多いので、とにかく、気づいたら、
一刻も早く金融機関に連絡して下さい。「疑いが」あれば足り、犯罪利用であることを「明確に証明する」ことや疑うに足りる「相当な理由」も必要ではありません。なぜなら、いちいち「明確性」や「相当性」まで証明していたら、被害回復の実現は困難になるからです。
情報を受けた金融機関は、犯罪利用預金口座などであえると疑うに足りる相当な理由があると認めた場合、
当該預金等債権消滅手続(失権手続)を行います(救済法4条、5条)。つまり、当該預金等を消滅させます。この手続きは、「相当な理由」がある場合に取られる措置で、預金口座の名義人に通知するなどして、所在調査などを行い、名義人が不明であるとか、権利行使の届出がない場合に、消滅手続を行い、その結果はインターネットなどで広く公告されます。もちろん、この間は、口座が凍結されていますから、引き出されることはありません。
消滅した預金等債権の額が1千円以上ある場合は、
被害回復分配手続金の支払い手続(救済法10条、11条)に入ります。この手続は公告されるので、被害者は、支払申請期間内に、金融機関に対し所定の申請書で申請をします。それを受けて金融機関は、被害者に被害回復分配金を支払いますが、犯罪被害額の総額が口座に残っている金額を超える場合は、按分した金額が支払われます。
このように、救済手続きは、@取引停止措置、A預金等債権消滅手続、B被害回復分配金支払手続の3段階の手続で行われます。