あすなろ法律事務所
野焼きについて

Q.季節は春となり、野焼きなどの光景を見かけます。野焼きは自由に行っていいのですか?

A.
 野焼きとは、野外・野山などで草木を焼き払うことをいいますが、焼却設備を用いず野焼きをすることは「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(16条の2)により原則禁止されています。また、地方自治体の条例でも原則禁止されています。なぜ、禁止されているというと、ダイオキシン類排出抑制と廃棄物の適正処理の観点から、廃棄物の野焼きを禁止したのです。つまり、焼却は地域住民の生活環境に影響を与えます。例えば、「けむたい」「窓をあけられない」「洗濯物に臭いがついて困る」など、それ以外に、発がん性などの毒性が高く環境汚染による人間の健康や生態系への影響が懸念される有機塩素化合物が排出される場合があるのです。違反した場合には、5年以下の懲役若しくは1,000万円(法人3億円)以下の罰金、またはその両方に処せられるという、重い罰則が定められています。
 ただし、例外として、焼却が許されている場合もあります。それは、@国や自治体がその施設の管理を行うために必要な廃棄物の焼却(例えば、河川敷・道路側の草焼きなど)、A震災、風水害、火災その他災害の予防・応急対策・復旧のために必要な廃棄物の焼却(例えば、災害などの応急対策・火災予防訓練など。)、B風習習慣上または宗教上の行事を行うために必要な廃棄物の焼却(例えば、どんと焼き・門松・しめ縄・お守り、塔婆の供養焼却など。)、C農業・林業・漁業を営むためにやむを得ないものとして行われる廃棄物の焼却 (例えば、田に隣接する河川堤等の下草刈り、果樹園においてせん定した枝の焼却など。あくまで「やむを得ない場合」であって、代替手段があれば、禁止です。)、Dたき火その他日常生活の焼却であって軽微なもの(例えば、落ち葉焚き、キャンプファイヤーなど。)です。
家の敷地で、草木や竹などを燃やすのも、原則いけません。一般的には、焼却しないで、なるべく燃やせるゴミとして処分すべきです。やむを得ず燃やす場合は、草木をよく乾かせ、近隣の迷惑にならないようにして燃やします。
 その際、風向き等の気象条件、時間帯、焼却量などにも注意すべきです。裁判例として、自宅の空き地で丸太や枝など約500キロを燃やしたとして、廃棄物処理法違反に問われたケースがあります。男性は事前に消防署に届けていましたが、判決は、消防署は屋外焼却を管理する官庁ではなく、法に反したことに変わりはないとして、男性に罰金50万円の支払いを命じています。