あすなろ法律事務所
マイナンバー制度について

Q.平成28年1月からマイナンバー制度がスタートしますが、この制度は、どのような目的で導入されたのでしょうか。

A.
 マイナンバー制度は、「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」=「番号法」に基づく制度です。この制度の目的は、主に次にあげる5つです。
@行政事務の効率化
 ある人を特定するためには、従来、「住所、氏名、生年月日、性別」を用いていましたが、個人に番号が付されることで、番号で特定が瞬時にでき、行政事務の効率が一段と促進されます。

A給付と税負担の公平
 個人が提出する所得税の確定申告や会社が提出する給与所得の源泉徴収票・配当金などに関する各種支払調書に個人番号を記載して税務署に提出することで、個人の所得が正確に把握できます。その結果、社会保障の不正な給付金受給や税の不正な負担軽減を防止できます、サラリーマンは、給料から税金が天引きされるので、所得がほぼ正確に把握されますが、自己申告の自営業者は、所得の6割〜4割程度しか把握されないとして、その不公平感が長年問題となっていました。しかし、そうした不公平も解消されます。いずれにしても、所得をごまかすことはできにくくなり、生活保護の不正受給や脱税なども減少されると考えられます。

BITの活用による国民の利便性の向上
 現在、公的扶助の申請や役所などの公的機関に何かを申請しようとする際、所得証明や住民票の写しなどの添付書類が求められ、手続が煩雑です。しかし、この制度により「情報提供ネットワークシステム」が整備され、従来の添付書類が省略できるなど手続が簡単になり、国民にとっても利便性が増します。

C積極的な情報提供による行政サービス
 「情報提供ネットワークシステム」利用により、国民一人一人の状況を把握できるため、行政側から国民に向けて積極的に情報提供できるようになります。国民はその状況を受けて、利用する機会を逃さないようにすることができます。

D大規模災害治における被災者支援
 大規模な災害時に、被災者の情報を管理することは困難です。しかし、個人番号を利用すれば、どの被災者がどの場所に避難しているかが把握できるので、必要な支援を行うことが可能となります。

 こうした活用は、これから数年にかけて整備されていきますが、とりあえず、平成28年1月から社会保障、税及び災害対策に関する事務で個人番号の利用が開始されます。なお、個人番号は「一人一番号」で、他人と重複しない個人番号が付されます。したがって、本人が死亡しても、その番号を新たに出生した人に付番されることもありません。その意味で「永久欠番」ですので、生涯大切に保管することが肝要です。