あすなろ法律事務所
ポイントやマイレージの取り扱いについて

Q.会社の経費で電化製品を購入した場合、そのポイントは自分のものにして使ってもよいでしょうか。同じように会社の出張で飛行機を利用した際に、付与されるマイレージをためて、私的な海外旅行に使用してもいいでしょうか。

A.
 千葉県庁が、最近、県の職員に対して、「出張で飛行機を使っても、マイレージを取得しないように!」との通知をしました。「マイレージ」とは、航空会社からもらえるポイントのことで、このポイントがたまると無料で航空機を利用することができます。この航空機のマイレージに限らず、スーパー、家電店、ドラッグストアー、コンビニなど、今や巷 の至る所にポイントはあふれています。ポイントがたまると、現金と同じように商品を買ったり、割引を受けたりすることができます。
 会社や役所(以下、「会社など」と言います)から事前に購入費や出張費をもらい、その購入費や出張費で物品を購入したり、飛行機に乗った場合、ポイントは、会社などのお金を使用した付随的利益として会社などに帰属します。これを、法的には、「法定果実」と言います。お金を貸した場合、利息を受け取ることがありますが、ポイントなどっも「法定果実」の一種です。したがって、私的にポイントなどを利用した場合、法律上の原因なく利得したということで、不当利得返還請求(民法703条)の対象となります。また、ポイントが高額であった場合、(業務上)横領罪が成立する場合もあります。これに対して、自分のお金やカードを立て替えて支払い、後で、会社などに請求した場合のポイントは、自分に帰属するので別段、不当利得にも横領にもなりません。
 問題は、会社などのルールがどうなっているかです。会社などがポイントやマイレージを取得しないようにというルールを規定している場合は、立替払いの有無に関係なく、そのポイントなどを私的に利用した場合、就業規則違反などに問われて、懲戒処分を受けることになると思われます。逆に、会社が、「もったいないから、私的に利用しても良い」とのルールになっているなら、民事・刑事の責任を問われることはありません。公務員の場合は、倫理上問題があるということで、多くの自治体が自粛の方針を打ち出しています。また、会社の場合も、ポイントの私的恩恵をうける社員とそうでない社員とで不公平感が生じ、恩恵を受けない社員から不満もでることから、ポイントなどを取得しないようにとのルールを定めているところが多くなっています。