あすなろ法律事務所
激甚災害について

Q.8月20日に広島市で起きた大規模な土砂災害について、政府は、早々に「激甚災害」に指定。被災者の救援 などにあたりましたが、そもそも、「激甚災害」とはどのような支援が受けられるでしょうか。

A.
 激甚災害(げきじんさいがい)とは、大規模な地震や風雨などによる著しい被害を受けた災害のことをいいます(激甚の「甚」という言葉は、普通の程度を越えている意味。すなわち非常に激しいことを意味します)。言い換えれば、国民経済に著しい影響を及ぼす程の大きな災害で、被災地域への財政援助や被災者への助成が特に必要となる災害をいいます。法律としては、「激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律」通称「激甚災害法」に基づきます。激甚災害には、害指定基準による指定(通称:本激)と市町村単位で指定する「局地激甚災害指定基準(通称:局激)」の2種があります。
 過去に「本激」を指定された主な災害は、@平成7年の阪神・淡路大震災、A平成16年の新潟県中越地震、B平成23年東日本大地震などが、また、「局激」を指定された災害は、@平成19年の能登半島地震による災害(七尾市、輪島市など)、A三宅島の噴火による災害などがあります。
 「本激」は災害に対してのみ指定され、地域を特定されませんが、「局激」は、災害と対象地域が特定されます。
 激甚災害に指定された場合、国と都道府県の負担で避難所や仮設住宅、給水活動、食料や衣服の給付などは当然ですが、国は災害復旧事業の補助金を上積みして、被災地の早期復旧を支援します。公共土木の被害や農地などの被害については、従来の国庫補助からさらに1割から2割程度、嵩上げ措置が講じられます。また、中小企業者などの被害については、災害復旧貸付などの支援措置として、金利の引き下げや償還期限の延長などがあります。
 個人の被害の補償については、「被災者生活再建支援法」に基づいて、家が全壊、または解体を余儀なくされた、あるいは長期の避難を余儀なくされた場合は100万円、大規模な半壊の場合は50万円が支給されます。また、住宅を建設・購入の場合200万円、補修の場合100万円、賃借の場合は50万円が各々支給されます。その他、「災害弔慰金の支給に関する法律」に基づいて、生計維持者が亡くなった場合は500万円、その他の人は250万円を支給することになっています。
 最近、日本列島は大きな自然災害が頻発していますが、来年は、災害のない平穏な年であることを祈りたいですね。