あすなろ法律事務所
休日と国民の休日について

Q.私の会社は就業規則で、土曜日、日曜日、国民の祝日を「休日」としています。4月末から5月にかけてゴールデンウィークになりますが、「休日」と「国民の祝日」との関係はどうなっているのでしょうか。


A.
  「休日」とは、労働契約において労働義務がないとされる日をいいます。つまり、使用者から特別の要請がない限り、労働者は休日に就労しなくても制裁を受けることはなく、使用者から労働者に対し債務不履行の責任を追及されることもなく、賃金がカットされるということもありません。  
 この「休日」について、労働基準法(以下、単に「法」といいます。)35条は、使用者は労働者に対して、毎週少なくとも1回の休日を与えるか、4週間を通じ4日以上の休日を与えなければならないと規定しています。すなわち、労働者に対して、「1週1回または4週4日」の休日を与えるべきとして定めているにすぎず、予めどの日を「休日」とするかについて特定すべき義務を課していません(もっとも、国の行政指導では、具体的に一定の日を休日に定めるのが、労働者保護の観点から望ましいとしています。)。
 したがって、国民の祝日は、「国民の祝日に関する法律」において、国民こぞって祝い、感謝し、記念するために休日と定められていますが、週1回の休日が与えられている限り、たとえ国民の祝日に労働者を休ませなくても法律違反というわけではありません。言い換えれば、祝日だから、当然、労働者が休めるというものではなく、国民の祝日を「会社の休日」とするためには、「所定休日」とするということを就業規則で定める必要があります(これは官公庁でも同じことです)。そして、その規則があって、初めて5月3日(憲法記念日)、4日(みどりの日)、5日(こどもの日)の連休が「会社の休日」となるのです(因みに、4月29日は「昭和の日」、5月4日は「みどりの日」として「祝日」になっています。なお、現在、「祝日」と制定されている日は、年に16日あります。)。もちろん、土曜日、日曜日についても、就業規則で、「会社の休日」と定めていることから、「休日」となっており、多くの会社はそのような就業規則を定めていますが、職種によっては、土曜日、日曜日に労働して、月曜日または火曜日を会社の「休日」と定めているところもあります。
 労働時間の短縮、休日増で労働者の健康維持を図るというのが国の政策です。現在は、「週休2日制」を採用した上で、国民の祝日も「会社の休日」とする会社が大部分であり、また、そのようにしないと、若い人は「会社の休日」の少ない会社に就職するのを嫌がり、その結果として、労働者の確保が困難になります。将来的には、国民の祝日以外に、「週休3日制」ということも考えられており、そのような会社も少しずつ出始めています。