あすなろ法律事務所
労災補償の内容について

Q.労災(業務上の災害)と認定されると、どのような補償が受けられますか。


A.
 次のような補償があります。
 @「療養補償」
 治療費全額が支給されます。健康保険と異なり、自己負担分はありません。
 A「休業補償」
 給付基礎日額(直前3ヶ月間の賃金の平均日額)の60%並びに休業特別支給金として20%が、治療のために休業している期間の日数分支給されます。通常は、一月分ことにまとめて支給となります。
 B「障害補償」
 後遺症が残る場合、その程度に応じて1級から14級までの等級を認定し、それに応じて障害補償給付が支給されます。なお、1級から7級までの重い後遺症への支払いは年金での支給となってしまいます。
 C「遺族補償」
 遺族補償年金、遺族特別支給金、遺族特別年金の遺族補償と葬祭料が支給されます。
 D「傷病補償」
 業務上の負傷ないし疾病が療養開始後1年6月を経過しても治らず、その障害の程度が傷病等級に該当するときは、傷病補償年金、傷病特別支給金、傷病特別年金が支給されます。
 E「介護補償」
 傷病補償年金受給者につき、その障害が一定のもので、かつ、その者が現に介護を受けているときに支給されます。
 F「労災就学等援護費」
 就学中の遺族に対しては、就学援助金支給の制度があります。
 上記@〜Fの金額の確定や補償を受け取る範囲などについては、若干面倒な計算などが必要となるので、社会保険労務士や会社の人事管理担当者などに相談するとよいでしょう。また、先記の労災の請求権にも時効があり、療養補償給付、休業補償給付、葬祭料、介護補償給付、遺族補償給付の時効は5年です。したがって、この期間内に申請をするよう注意しなければなりません。
 なお、慰謝料は、労災の補償の内容でないことから、慰謝料請求をする場合は、労災による請求とは別に請求する必要があり、会社が応じない場合は、慰謝料請求の裁判を起こす必要があります。過労死自殺の場合の慰謝料は、本人やその遺族の分も含めると相当高額になる場合があるので、ぜひ、検討すべきでしょう。