自転車運転に対する罰則強化
Q.改正道路交通法が令和6年11月1日に施行され、自転車の危険な行為が厳罰化されるということですが、その内容について教えてください。
A.
スマートフォンを使いながら自転車を運転している人を見かけることがあると思いますが、そのような運転をする人を
「ながら運転」といいます。この「ながら運転」が絡む事故は各地で相次いでおり、昨年までの5年間で死亡事故が2件、重傷者100件、このうち21件は通話中、81件は動画の視聴などで画面を見ていました。いずれも重大な事故につながりかねない行為ですが、これまでは都道府県の公安委員会規則で禁止されており5万円以下の罰金でした。しかし、11月1日からの改正道交法で、
「ながら運転」をした場合は、6月以下の懲役または10万円以下の罰金へと罰則が強化されました。さらに
「ながら運転中」に交通事故を起こすなど交通の危険を生じさせた場合、1年以下の懲役又は30万円以下の罰金と、より重い刑罰が科せられます。
また、
酒気帯び運転も罰則付きの違反となります。飲酒して自転車を運転することはこれまでも道交法で禁止されていましたが、正常に運転できないおそれのある「酒酔い状態」(酩酊状態)のみが罰則の対象でした(5年以下の懲役又は100万円以下の罰金)。しかし、酒気を帯びて自転車を運転することで起きる事故も多発していることから、酩酊状態までではないが、
酒気を帯びて運転した場合(車と同じで、1リットルあたり0・15mg以上のアルコールを含んでいる状態)
も罰則の対象となり、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科せられます。
加えて、
自転車の飲酒運転をするおそれがある者であることを知りながら酒類を提供し、その者が酒気を帯びて自転車を運転した場合、酒類を提供した者も酒気帯び運転の幇助犯として2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられます。
さらに、自転車の運転者が酒気を帯びていることを知りながら、自転車で送るように依頼して自転車を
同乗した場合も、同じく幇助犯として処罰されます。したがって、自転車に乗って居酒屋に飲みに来た場合は、自転車を店において、歩いて帰るか又はタクシーで帰る必要があります。自転車だからいいだろうと甘く考えてはいけません。また、店側も、自転車等で来ていないかを確認する必要があります。そして、帰るときに客が自転車に乗っていた場合、注意しないと幇助犯として処罰されるので注意が必要です。