あすなろ法律事務所
 動物愛護について

Q.警察庁は、動物を虐待したとして平成27年度、動物愛護法違反容疑で逮捕・書類送検したのは63人で、件数にして56件(動物別では猫が34件、犬が20件、ハムスター、鶏が各1件)で、これは統計が残る2010年以後、最も多かったと公表しましたが、「動物愛護法」というのはどういう法律ですか。また、ペットであるか否かで、法的扱いに違いがありますか?

A.
 「動物愛護法」は、全ての人は、「命あるもの」である動物をみだりに殺傷したり苦しめたりしないようにして、人と動物が共生していけるように、動物の習性をよく知り、適正に取り扱うようにしなければならないという目的から制定された法律で、動物の愛護及び適正な管理のより一層の推進をはかるために、平成24年9月に法改正がされ罰則も強化されました。
 まず、この法律で対象となる「愛護動物」ですが、@飼い主の有無にかかわらず全ての「牛、馬、豚、めん羊、やぎ、犬、猫、いえ兎、鶏、いえ鳩、あひる」、A@以外で人に飼われている「ほ乳類。鳥類、は虫類に属する動物」の動物を言います。したがって、ペットの犬,猫も野良犬、野良猫も、「動物愛護法」では「愛護動物」として、保護されています。
 上記の愛護動物に対して、法律は、虐待行為を禁止しています。すなわち、殴る、蹴る、熱湯をかける。あるいは、動物を闘わせるなど、動物が怪我を負う又は負う可能性のある行為や暴力を加えるなどの積極的(意図的)虐待を禁止しており、このような行為をした場合は、2年以下の懲役又は200万円以下の罰金に処せられます。また、世話をしないで放置する。健康管理をしない。健康や安全が保てない場所に拘束して衰弱させるなど、いわゆる、やらなければならない行為をやらないネグレクトも禁止しており、このような扱いをした場合も、100万円以下の罰金に処せられます。さらに、愛護動物を最後まできちんと飼わず、遺棄することも禁止しており、遺棄を行為をした場合も、100万円以下の罰金に処せられます。したがって、どうしてもペットを飼い続けることができない場合は、誰かペットを引き取ってもらうか、見つからない場合は、都道府県等に引き取ってもらう必要があります。
 ペットと野良猫などの違いですが、動物愛護法では、等しく保護される動物ですが、ペットの猫の場合、飼い主がいるわけですから、ペットに虐待を加えれば、飼い主の物を損害したということになり「器物損壊罪」(刑法261条)の罪にも問われます。この場合、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料という罪に問われます。つまり、ペットを殺傷した場合、一つの行為で刑法犯と動物愛護卯法違反の二つの罪を犯したことになり、重い方の器物損壊罪で裁かれる可能性もあります。その他、ペットの場合は、加害者に対し、民事的に損害賠償も請求されます。