あすなろ法律事務所
 自転車の危険運転について

Q.道路交通法が改正になり、自転車の交通違反を繰り返した場合、有料の安全講習の受講が平成27年6月から義務づけられると聞きましたが、どういうことでしょうか?

A.
 自転車も道路交通法の規制の対象となる「車両」(種類は軽車両)です。しかし、自動車と違って、誰でも気軽に乗れることから、歩道などを自転車が走っていますが、このため歩行者と衝突するなどの人身事故も多発しています。平成25年には、人身事故件数は、約7600件で、このうち、死亡事故は82件に上がります。
 こうした事故を防ぐために、平成27年6月から一定の危険な違反行為をして2回以上摘発された自転車運転者(悪質自転車運転者)は、公安委員会の命令を受けてから3か月以内の指定された期間内に講習を受けることが義務付けられました。
 講習の対象となる危険運転は、@信号無視、A通行禁止違反(車両通行止めや自転車通行止めを走ること)、B歩道での徐行違反、C通行区分違反(道路右側路側帯の通行、自転車は、原則、左側通行です)、D路側帯での歩行者妨害、E遮断機の下りた踏切への侵入、F一時停止違反、G歩道での歩行者妨害、Hブレーキのない自転車の運転、I酒酔い運転、J携帯電話を使用しながら運転するなど安全運転義務違反(傘さし運転も安全運転義務違反になります)、K交差点での優先道路通行者の妨害など、L交差点で右折する場合、直進車を妨げること、M環状交差点での安全進行義務違反の14項目です。
 講習の対象となるのは、3年以内に2回以上、警察官から違反切符が交付された場合で、講習は3時間。講習料は5700円です。満14歳以上の人に受講義務が発生し、この講習を受けないと5万円以下の罰金に処せられます。
 平成25年度中に、交通事故で死傷した自転車運転者のうち、法令違反をしていた割合は64%に上がります。
 なお、自転車事故で千万円単位の高額な賠償金を命じる判決も相次いでおり、小学生の男児が女性をはねた事故で、約9500万円の支払いを命じた裁判例もあるので、改正をきっかけに自転車保険に加入することも考えてみる必要があるかもしれません。